SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“京都の春のハレ/寺田 由”
春うらら・・・陽射しが暖かく心地よい季節になりました。
卒業式や入学式、新学期に転属など何かと行事や節目の多い季節です。
本日は京都の春の行事、「十三詣り(じゅうさんまいり)」をご紹介いたします。
その名の通り、数え年の13歳に嵯峨嵐山の法輪寺へ知恵を授かりにお詣りをします。
諸説ありますが、平安時代に清和天皇が法輪寺で成人の儀式をおこなったのが起源という説も。
関西、特に発祥の京都では大切にされている行事のようで、私も小学校6年生の春に家族で法輪寺へお詣りしたことをよく覚えています。
当日の朝、急いでいるにもかかわらず父がスピードを出しすぎてお巡りさんに切符を切られたこともよくよく覚えています。
祖父母が仕立ててくれた振袖と「十三詣りの時に、」と私が生まれた時にいただいた西陣織の帯。
この振袖は私にとって色々な人の想いを思い出させてくれる大切なハレ着です。
十三詣りの正装として着用する振袖は大人のサイズで仕立てられた「本裁ち」ですが、肩は子供の成長を願う「肩上げ」がされており、お詣りが終わると肩上げを解いて大人の仲間入りをするというしきたりがあるようです。
私の母は肩上げをしたまま保存しているので、この振袖はそれっきり袖を通すことはありませんでした。
流行り廃りがない和装の世界、この振袖も20年以上色褪せずいつ見ても可愛いなぁと感じるお気に入りです。
私が着ることはもうありませんが、いつかまた次の世代の誰かに受け継いでもらう機会があればいいなと思います。
京都の十三詣りはお詣りして終わりではありません。
お詣りを終えた後は一切振り向くことなくなかれ、もしも振り返えらば授かった知恵を返さなければならない!という脅迫的な言い伝えがあるのです。
ゴールは嵐山で有名な渡月橋を渡りきるまで!
奇しくも私の親戚が渡月橋の上で事故に遭遇し、後ろを振り向いてしまった!なんて話を聞いていた上に、受験生でもあったので何としてでも知恵を授かりたく渡月橋を渡り切るまで両親の静止を振り切りながら早歩きでズンズン進んで帰った覚えがあります。
肝心な知恵を授かったのかどうか?これに関しては残念ながら個人差があると実感しています。
比較的しっかりと記憶にあるものの、とにかく朝から非常に忙しい一日だった・・・
そんな思い出も今となっては笑い話。
十三詣りは関西だけでなく、近頃は全国的に広がっている行事だそうです。
いろんな伝統行事が廃れていく中で、今一度広がりを見せるとは!とっても良いことだと思いませんか?細かいしきたりはさておき、お子さまの成長を皆で祈り、祝う1日にするのも良いかもしれません。
きっと大人になった時、私のように楽しい思い出になるかと思います!
さて、まもなく十三詣りをされるみなさん、誠におめでとうございます。
よく学び、健やかに楽しい青春時代を過ごされますようお祈りいたします。
そしてこの春、新生活を控えておられる方も多いのではないかと思います。
どうぞ、みなさまの新しい季節の日々がうららかでありますように。
それではまた、ごきげんよう。
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